
意気込んで買った手帳のはずなのに、何を書いていいのか分からずページは真っ白なまま、「ここからどうしたらいいの?」と一人で悩んでいませんか?
最初は真っ白なページばかりだったみっけさんは、今や手帳からあふれんばかりにページにぎっしり思考を書き留めています。
深い内省をアクションにつなげ、住環境や家族関係の改善、時間の使い方の見直し、さらには転職までを2年半で実現しました。
今回は自分軸手帳歴3年目のみっけさんが、どのように自分軸手帳を自らのパートナーとし、自分軸を手にしていったのか、たっぷりお話を伺いました。

夫と息子(年中)の3人暮らし。自分軸手帳部が立ち上がった2021年に入部し、今年で部員歴3年目。思考×試行の「しこう錯誤」の様子を、自分軸手帳部プラットフォームや音声配信で実況中継。
ぼんやり浮かんでは消えていく思考を堰き止め次につなげるのが「手帳」の役割
―― みっけさんが最初に自分軸手帳を手にした動機は?
実は、手帳そのものより「自分軸手帳部(以下 手帳部)」というコミュニティがおもしろそう!と感じたんですよね。当時属していた別のオンラインコミュニティでも周りのメンバーから刺激をたくさん受け取っていたので、手帳部でも新しい刺激やきっかけをもらえたら、と思っていました。
―― 何か具体的な課題感があったというわけでもなかったんですね。
当時は「自分軸」「他人軸」などと考えること自体なかったですし、「これをどうにかしたい!」という明確な思いもありませんでした。手帳も雑貨店で市販されているような薄いものをたまに買う程度で、詳しくもなく。
でも、部員同士交流しながら手帳を書くことで、何かが起きるかも……という予感や期待は抱いていた気がします。
―― みっけさんといえば、文字でぎっしり埋め尽くされた手帳が代名詞ですが、最初から手帳との付き合いは順調だったのですか?
とんでもない!
一体なにを書いたらいいのか、全くわからず。スケジュールやToDoを書くだけで手がとまってしまい、見事に真っ白でした。(笑)

―― 書けるようになったきっかけは?
部内で開催された「アウトプットのススメ」というイベントです。
この中で、「手帳は自由。気持ちや出来事など、何を書いてもいい」ということを聞いて、やってみよう!と。
毎日のスケジュールの脇に、「○○をした→どんな気持ちだった(楽しかった、イライラした……)」ということを書き始めました。
―― みっけさんは内省力もあるので、書く!とさえ決めれば筆が進みそうですね。
それが、手帳を書くまでは「内省している」ということにさえ気づいていなかったんです。頭の中は常に忙しくてあれこれ考えているのに、脳内で勝手に収束……というよりむしろ、ぼんやり消えていた気がします。
ところがウィークリーページに書き留めるようになって「こんなにたくさんのことを考えていて、こう思っていたんだ!」ということを初めて目の当たりにしました。それまでどこかに消え去ってしまっていた気持ちを細かい粒度で拾い上げることができるようになり、解像度が上がって……「次の一手」へのヒントになる。
――ここから自分の思考や感情を起点にしたループが回り始めた気がします。

ページだけでは足りず、短冊で拡張するほどの書き込みっぷり。
1年目|「一方的なイライラ」と「こうあるべき」の呪いを手放す
―― そんなループを回して、最初の2021年からたくさんの「引き算」や改善に着手されましたよね。
はい。
「引き算のワーク」がテーマのもくもく会(※)に参加し「こんなワークページが手帳にあって、こうやって書けばいいんだ」と理解したんですよね。すると、日々ウィークリーに書く「モヤモヤ」や「嫌だ!」という自分の中の思いに次々アンテナが反応し始めて。(笑)

仕事を終えてから家事が立て込む夕方と、引っ越したばかりで家の中が整理されていないことにイライラしがちだったので、ここを改善することにしました。
(※)もくもく会
時間を決めて部員がオンライン上に集合し、30分間ひたすら手帳に向き合い書き込む会。各回のテーマに合わせた解説を聞いたり、チャットで部員同士情報交換をしたりすることもできる。
「こうあるべき」を手放せたのは軽やかに先行く仲間の姿があったから
―― まず「夕方」についてのお話から聞かせてください。
「24時間の棚卸しワーク」で、1日の時間の使い方や感情に目を向けてみたら、平日の夕方にものすごくイライラしている自分に気づいたんです。仕事を終えて食事やお風呂と家事は立て込んでいるのに、保育園帰りの子供は寄り道したがる。
「このイライラを手放すために私にできることは、夕食の準備の見直しだ」という結論に辿り着きました。
―― 具体的にはどんな改善を?
元々ホットクック(自動調理器)を持っていたので、朝のうちに材料を仕込んでタイマーをセットしておくようにしました。
今はシルバー人材センターの方に、定期的にご飯作りや作り置きなどもお願いしています。
―― アプローチが幅広い!
この選択肢の広がりも手帳部のおかげです!
私は料理が得意ではないのに「妻なら、母なら、自分でご飯を作るべき!」という「べき論」に囚われていました。調理をコンロから電子レンジに、というレベルの改善はできても「自分の手から料理自体を手放す」なんてことはしてはいけないと思っていたんです。
シルバーさんにお願いするようになったのは、先にこの方法を導入していた部員さんの経験談がきっかけでしたが、最初は「周りに『あの家、他人がご飯作ってるらしいよ』なんて思われたらどうしよう」という想像がブレーキになってなかなか踏み出せませんでした。
ところが、様々な部員さんがフラットにこの選択肢を手にしていて、しかもなんだか幸せそう。あまりにもそんな事例に触れることが多くなって「あれ?まずは1回やってみてもいいんじゃない?」と、徐々に気持ちが傾き始め……。(笑)
―― 交わる人や情報が変わると、たとえ短期間であっても常識や価値観を変化させることができるんですね!
実際シルバーさんに頼るようになってのご感想は?
私が作るよりバラエティに富んだメニューだし、家族のリクエストにも応えてくれる。子どもの食いつきもよくなりました。現実は誰かに何かを言われることはないし、穏やかになった私に夫も喜んでいて……「何でそんなに頑なになっていたんだろう?」と今では思います。
今は子どもとの帰り道に、自ら寄り道を提案するほど余裕が生まれ、良いことしかないです!(笑)
家のスッキリ化の向こうに待っていたのは「話し合える夫婦」
―― もう一つのおうちの片付けについてはどうでしょう?
当時は夫の転勤で子連れで引っ越し、直後に私も育休から復帰した直後で、ものすごくイライラした日々でした。
これも手帳に書き留め「何にイライラしているか?」を分解すると、様々な理由が出てきましたが、その中でも改善しやすい要素の一つが「引っ越してグチャグチャなままの家では?」と思い至りました。
―― 先ほどの「夕方」の見直しといい、今回といい、みっけさんは「ここが効く!」というセンターピンを見つけることに長けていますね!
とはいえ、お仕事と並行してのお片付け、なかなか大変だったのでは?
手帳の中の「足し算のワーク」にも「スッキリした家で暮らしたい」と書いていたので、やりたいことの一つでもあったんですよね。
取り組むのは「在宅勤務のスキマ時間」「土日のまとまった時間」で、毎月1エリアずつ。半年間で家の中を1周すると決めました。
計画とともに、やったことや手放したものなどの実績を手帳に記録していくうちにゲーム感覚で進められるようになりました。

ゲーム感覚で取り組めるように。
―― 半年間で「スッキリした家」は・・・
実現しました!
しかも、最初は自分に関係ある部分を私一人だけで……という予定だったのに、洗面台などの共用部分がスッキリするとそれを気持ちがいいと思ったのか、夫まで参戦してくれたんです。
―― それはうれしいですね!
自分軸手帳を書く前は、「わかってもらえない」と一人で腹を立てて、夫にただイライラをぶつけることしかできませんでした。ところが、手帳に書き出すようになってからというもの、頭の中身を言語化できるようになって――「夫婦の話し合い」が成り立つようになったんですよね。
今では毎週月曜日、子どもを送り出してから夫と私の始業までの30分間は夫婦での定例会を実施するまでになりました。
―― ご自分のできることにフォーカスして動き出した結果、相手の行動やお二人の関係まで変わっていく――最高の変化ですね!
定例会ではどんなお話を?
「直前の土日の過ごし方はどうだった?」という感想や意見交換に始まり、息子の興味や好きなもの、私や夫が勉強したいと思っていることや、アンテナが立っていることなど。ざっくばらんに話しながら、次の週末や休暇の予定に反映したりしています。
2年目|自分も家族も大切にしながら「与えあえる」関係に
―― 我が子に留まらず、自分たちのことも話すっていいですね!
「息子が興味を持つことにイキイキと目を輝かせているのっていいよね。それって私たちも同じじゃない?じゃぁ、お互いのやりたいことも叶えていこう」と。
それを受けて手帳部2年目の2022年は「徹底的に家族の好きを追いかける1年」を実践しました。
マンスリーページの片隅に私と息子の興味を書き留めてみたり、「足し算のワーク」にやりたいことを書き込んだりして、とにかく「好き」を逃さないようにしていましたね。

書籍「DIE WITH ZERO」に関連した部内イベントでも「子どもの興味も、みんなで過ごせる時間にも、期限がある」ということを実感したので、タイミングを逃さずどんどん計画に織り込んでいきました。
―― 息子さんの興味に応えてあげるのは充実感を覚える反面、親としてはちょっと退屈、なんてことはありませんでしたか?
もちろんそういう瞬間もあります。(笑)
だから子どもの興味のあるおでかけ先と併せて、夫や私の行きたかった場所を組み合わせてみたり。すると「いい一日だったね」と全員が満足度高く過ごせるんですよね。
―― 自分のイライラを手放すことが起点だったみっけさんが、今度は家族それぞれの満足に意識を向けるようになった――。
そうですね。
自分軸手帳を使うほどに、自分と大切な人それぞれを大事にするようになりました。自分の気持ちをしっかり拾えるようになったからでしょうか、「モヤモヤ」や「イヤだ」という思いが芽生えた時、以前は「それでもやらなきゃ」と思っていたのが、次第に「うん、イヤだよね」とまず受け止められるようになりつつあります。
夫がネガティブなことを口にしたときも、以前なら「いや私だって大変だし」と思ってしまっていたところを、手帳との付き合いが長くなるにつれ「そうだよね」と共感し、そこをスタートにできるようになりました。
以前が「自己犠牲で押し付け合ったり奪い合ったりする関係」だとしたら、今は「与えあえる関係」になったと感じています。
3年目|「転職」で自分のほしい未来に手を伸ばす
―― ここまでの2年間だけでも鮮やかな変化があったのに、さらに今年は初の転職まで叶えようとしているんですよね。
はい、そうなんです。(笑)
先日無事に転職先が決まりまして。
この転職活動も、振り返れば2021の「引き算のワーク」が始まりでした。
―― 詳しく聞かせていただけますか?
引き算のワークの書き方の一つとして「カテゴリ別に引き算したいことを書き出す」という方法を勧められたので、その観点で書き出した項目を眺めてみたんです。すると……「キャリア」について何も書いていない自分に気づきまして。

よくよく考えると、「やりたくないこと・やめたいこと」が浮かばないばかりか、「やりたいこと」もない。
仕事に対して主体性がないなぁ……とハッとしたんです。
―― 以前は主体的なタイプだったんですか?
元々仕事に夢中でしたから。
子どもを産んで時短になって異動して。仕事において正直以前ほどの満足感は抱きにくかったのですが、「それでも働けるのがありがたい」「仕事だからやらなきゃ」と自分に言い聞かせていたことに気づきましたね。
―― そこから転職へはどんな道のりがあったのでしょう?
先ほどお話した課題感に気づいて以来、「自分は何がやりたいんだろう」とアンテナが立つようになりました。すると、社内でワクワクする仕事があることに気づいたんです。2021年の秋の面談で「そこに異動したい」ということを口にしたら、2022年の4月には念願が叶いました。
―― ここまでは順調そうで、必ずしも転職の必要性がなさそうですが?
異動先では興味がある仕事に携わることができ、とても楽しかったです。ただ、少し時間が経つにつれ「5年後、あるいはもっと長くこの仕事を続けるか?」という問いに対しては疑問が湧いてきたんです。
そうして考えるうちに、この異動を機にこれからもっとやってみたいことに気づいたり、同時期に夫が転職して「不満もなくなりやって良かった!!」と隣で言っていたり。「転職」というカードが一気に身近に浮上したというわけです。
―― 転職には手帳も活用しましたか?
そうですね。
そもそも2022の足し算のワークにも「転職活動」と書いていたのですが何もせずじまいで……。「このまま2023に同じように書いてもきっと実行しないぞ」ということで、2023年は気持ちのど真ん中に「転職活動」を掲げて年間計画に落とし込み、キャリアカウンセリングなども併用しながら実行に移しました。

―― 予定通りに進みましたか?
予定通りどころか、想像以上のスピードで進展しました!
そもそも自分を必要としてくれる企業があるのか?という点に自信はなかったので、「転職」ではなく「転職活動」をしてみる一年にしようと思っていたんです。強みの棚卸しも、職務経歴書も、面接も、それをやってみることで今後の足掛かりになれば――と。
ところが、毎月の振り返りのタイミングで年間計画と実績を照らし合わせると、予定がどんどん前倒しになり、ついには「転職活動の経験」どころか「転職」自体を実現できてしまいました。
―― 以前は食事作りのような家庭内の仕組みを変えることにさえ恐る恐るだったみっけさんから思うと、「試しに転職活動してみる」と踏み出せるのが嘘のようですね!
私が自分軸手帳に出合って感じるのは「とても生きやすくなった」ということです。
辛いことや嫌なことがあった時、「それに甘んじなくてはいけない、だってそれが生きるってことだから」と思っていました。けれど、手帳に書き、部員さんと交流するうちに、「いや、そういうことじゃないのかも」って思えるようになったんです。「自分の気持ちも大切な人も、今この瞬間に大事にする」ということを実践できるようになったと思います。
このままでも生きていける。けれど、日々をもう少しよくしたいあなたに。
―― もし自分軸手帳がなかったら、みっけさんはどうなっていたとおもいますか?
自分にはイマイチ合っていない仕事を続け、母・妻・社会人などのあらゆる役割において「こうあるべき」という固定概念に縛られていたと思います。
夫とは今のようなチームになれていなかったでしょうね。
―― では、どんな方に自分軸手帳をおすすめしたいでしょう?
「このままでも生きてはいける。けれど、なんとなく生きづらい」と感じている人ですね。
「上手に言葉にできない」「正体がよくわからない」というモヤモヤを抱えながら、「もう少し毎日が良くならないかな」という思いがある人に手にしてもらえたら――きっと少しずつ、でも確実に。自分を大切にしながら、生きやすい日々を送れると思います。
おしまいに
自分の気持ちや気づきをページいっぱいに埋め尽くす姿が印象的なみっけさん。そんなみっけさんも、最初は真っ白なページがスタートだったと聞き、どこか安心するとともに、「まるで手帳を使うというのは思考のマッサージのようだなぁ」と思いました。
日々少しずつコリをほぐし、体と向き合うと、あるときすっと詰まりが取れて体がふっとラクになる――そんな風に、手帳を通して自分自身の気持ちや頭の中と向き合っていくうちに、小さな変化や不調にも気づくことができ、知らず知らずに自らにかけていた「べき思考」が外れてゆく。様々な感情や思いが体を巡れば、心も足取りも軽やかになっていくのでしょう。
一気に大きな変化を目指さなくても大丈夫。まずは観察を続けて、「私ができること」に集中することが大切なんだ――とみっけさんに教えてもらった気がします。
<聞き手・執筆> 矢島 美穂


