「私なんかにお金を使ってはいけない」「育児を楽しむというからには、おむつ替えさえも楽しむべき」……そんなさまざまな「こうするべき」に縛られていたというのは、自分軸手帳部員のまーるさん。しかもその「自分ルール」の存在に全く気付かないまま、がんじがらめの日々を送っていたというから驚きです。
手帳部に入ってちょうど2年が経過する今、カチコチだったまーるさんの思考や選択には、いつのまにか様々な変化が生まれていました。その様子をたっぷりお聞きします。

《Profile》まーるさん
30代。2歳と4歳の息子2人を育児中。
2024年7月、自分軸手帳部に入部し、自分軸手帳を使い始める。
食べること、好きなことを熱く語る人の話を聞くこと、手帳・ノートに関する特集、SNS投稿を見るのが好き。
note:https://note.com/ready_mimosa9273
「自分軸=わがまま」ではなく、「足るを知る」ための一歩だった
―― まずは、まーるさんが『自分軸手帳』を選び、『自分軸手帳部(以下 手帳部)』に足を踏み入れた時のお話から聞かせてください。
ちょうど2年前(インタビュー当時)は、0歳と2歳の子どもの育児中で、まるで暗黒期でした。自分の時間が思うように取れないし、夜間授乳でヘロヘロの体で、イヤイヤ期に面と向かう日々がしんどくて。
そんな時に、自分軸手帳のユーザーインタビューで、いろべはなさんが「日常の中に幸せを見つける」姿に触れたんです。「え、これができる場所なの!?」と。実はその2年ほど前から『自分軸手帳』のことは知りつつ、購入も手帳部への入部も足踏みしていたのですが……あの瞬間に決断しました。
―― 2年の迷いを払拭するほどのインパクトだったんですね!
私は自らにルールや縛りを強く課して生きてきた人間でして……。それまでもユーザーさんインタビューは読み込んでいて、キャリアややりたいことを叶えていくような方の体験談に尊敬や憧れは抱きつつも、いざ自分事として考え始めると「自分軸をもつ=やりたいことをやる=わがままな行為」という価値観が勝っていたんです。
アダムとイブが知恵の実を食べる、あの禁断の行為のように、私が自分軸を持ったら開けてはならない禁断の扉に手を伸ばしてしまうようなイメージを持っていました。
ところが、日々の暮らしや我が子との関わりを幸せに語るはなさんの姿に「自分軸=わがまま」ではなく、「足るを知り、さらに幸せを見出す側面もあるんだ」と。私がやりたいことって、まさにこれじゃないか!と思えたんですよね。
―― 「自分軸」と「わがまま」の違いをどう捉えたらいいか、と悩むお声はよく聞きます。
はい、だからそういう方々の気持ちは本当によくわかります。ただ、手帳部での2年を過ごして、自己理解とか自己受容が進めば進むほど、他者理解が進むということがわかりました。
自分を理解して自分軸を育てる行為は、「利己的になる」ことと同義ではない。むしろ、自分を知ることで人の役に立ちやすくもなるし、優しくもなれる――多分そういう関係性だと思います。
両親と手をつなぎ直せた日から、ようやく「私の人生」を歩めるように
―― きっと様々なことと対峙し、考えたからこその言葉だと感じます。まーるさんの考え方に特に大きな変化や気づきをもたらした『自分軸手帳』にまつわるエピソードを教えていただけますか?

最大の変化を生み出してくれたのは、手帳部で開催された「書籍実践サークル(※1)」での活動ですね。なかでも、入部からおよそ半年後に始まった書籍「DIE WITH ZERO」(以下DWZ)の実践で得たものは大きすぎました。
※1:書籍実践サークル
自分軸手帳部員の希望者が申し込み参加するサークル(不定期開催)。設定された書籍の中に書かれた学びやワークを、手帳をツールにしながら数カ月にわたって自分の中に落とし込んでいく。過去には『7つの習慣』『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』『アウトプット大全』などの書籍がテーマとなった。
―― 「お金を貯め込むことより使い切る方にフォーカスしながら、人生の経験を最大化する」ということが語られた書籍ですね。どんな収穫があったのでしょう?
私の場合は、親との関係の深掘りをすることができて、大きな思い込みや呪いを手放すことができました。
―― え?DWZはお金の使い方がテーマですよね?それが家族関係の改善につながった……?

本当に意外ですよね(笑)。お金の使い方って、自分の価値観が反映されていて、起点を辿る家庭で、実の親との関わりと向き合うことになったんです。
DWZでは、「思い出は、残りの人生で何度も反芻しながら味わえるという複利までも生み出してくれる」と語られています。その思い出の残し方について思いを巡らせたときに、私に蘇るのは、幼かった私と親との旅行風景でした。
父はカメラが趣味だったものだから、どこかに出かけるたびに「写真を撮るからあそこに立って!こっち向いて!」と指示されて、待たされて。家族皆、それにつきあいましたが、本音を言うと、私はそれが、苦手でした。記録する行為にばかり注意が向いていて、「はやくあっちに行きたい!楽しみたい!」という私の気持ちが二の次にされているようで……。大きな抵抗感を覚えていました。
でもこの書籍実践で、「思い出が資産になっていく」という切り口で、親との体験を見つめていった結果、心の内で、親と仲直りできたとでもいうのかな……手をつなぎ直せたような気がしたんです。
―― ああ、過去の経験を違う目で捉え直せたんですね。
はい。両親は私に嫌なことを強いていたのではない。彼らが大事にしたかったものを一生懸命大事にした結果があの形だったんだ、って納得できたんです。両親が大事にしたかったことが、必ずしも私にとっての幸せではなかっただけなんだ、って。
―― 与えられた愛情と、求めていたそれの形が違っていただけだ、と。

そうそう。それまでは、私は条件付きで愛されているようにも思っていたんです。うちの親はかっちりした「こうあるべき」という信念が強かったので、そこにはまらなくちゃ愛してもらえないんじゃないか、って。でも、自分が認識していたより愛が注がれていたのかもしれないと気づけて、「私はちゃんと愛されていたんだ」と思えるようになりました。
―― 確かDWZの書籍実践サークルは、わずか3ヶ月の活動でしたよね?
そうなんです。たった3ヶ月で、すごいですよね。でも、自分一人で読んでいたら、こんな気づきは到底得られませんでした。
サークルでは同じ本を題材に取り組んでいるはずなのに、他の部員さんが自分に全くない視点で解釈したり深掘りしたりするんですよね。今回の私の気づきも、ある部員さんが「辛い思い出も新しく見直すことができる」というようなアプローチを紹介してくれているのを見て、新たな問いを立ててもらったからこそ到達できたものでした。
―― 「自分の中でご両親と手をつなぎ直せた」とのことでしたが、その後、ご両親との関係で目に見える変化などはありましたか?

ご機嫌伺いをしなくなりましたね。実はそれまでは、毎日電話をしていたんです。でも、先ほどお話した気づきを得てから、それを辞めました。
こうお話しすると、まるで仲が悪くなったように見えるかもしれないんですけど(笑)。
―― いえいえ!自分の人生を生きられるようになったように聞こえます。
そうですね。両親も体調を崩していたりするもので、いろいろ心配事はあるんですよ。前の私だったら、頭の中がどっぷり実家一色になっていたと思います。
でも今は、「申し訳ないけど、私自身の問題ではないから」と、だいぶ線が引けるようになっていますね。「こちらがナイーブになったところで、何ができるわけでもないし」と、ヘルシーに割り切れるようになったというのかな。
自分を労い始めた私に起こった、体と思考の変化
―― 先ほどの書籍実践サークル以来、まーるさんはすっかり身軽に?
いえ、実はそうでもなくて。そのあとも、まだ大きな「こうあるべき」という思考には縛られ続けていました。でも、その「べき」に気づくことすら、なかなかできなかったんですよ。
―― 裏返すと、「今は気づくことができつつある」という風にも聞こえます。
そうですね、まずは先ほどお話したような「根本治療」にも似た形で、自分の根っこを癒して世界を見られるようになったことが大きかった。さらに、2025年9月にコミュニティオーナーのようこさんが呼びかけてくれた「感謝日記チャレンジ」が、私の思考をほぐしてくれたように感じます。
―― ぜひ詳しく聞かせてください。

「感謝日記チャレンジ」は、ようこさんが掲げる日替わりの「○○に感謝」というテーマに沿って感謝を見出しながら、感謝習慣を手に入れよう、という2週間の試みでした。その中で私にとって特に難しかったのが、「自分への感謝」を考えること。「この私に、何を感謝すれば!?」と戸惑いしかありませんでした。

でも、考えを巡らせるうちに、「自分を労うことが、自分への感謝といえるのでは」という個人的解釈に辿り着いた瞬間に、少しずつ鎧を脱ぎ捨てられるようになった気がします。
たとえば、私は自分にお金をかけるなんてもったいなくてできなかった。出先で「喉が渇いた」と言う我が子に自販機で飲み物を買うことはできても、自分は持参した水筒でしか水分補給しませんでしたし、手帳に関しても100均のシールを買うことですら後ろめたく思っていたんです。
でも、自らのがんばりを拾い上げ、労えるようになったら、私への出費も少しずつ許せるようになったんですよね。
―― 「私なんかに……」という思考を手放し、自分を大切に思えるようになったんですね。
はい。
かつては『自分軸手帳』を買うことだって恐れおののいていたのに、少しずつ自分を許して緩められた結果、2026年のはじめには、ライティングの講座にまとまった金額を投資する決断までできましたから。
―― ものすごく大きな変化幅ですね!

部員さんに自分で気づかなかった「得意」を見出してもらったことも決断の大きなきっかけでしたから、手帳部があったからこそできたチャレンジでした。講座以外の時間も課題のことで頭がいっぱいで、涙目になるほど……自分に負荷をかけた数カ月でしたね。
でもね、キャリアチェンジを目指して受講したものの、結果的には「私にとって書くことは一手段であり、興味や価値観の核は別のところにある」と気づいたので、ライティングを今後の仕事軸にすることは選択しないことにしたんです。以前なら「時間もお金も費やしたのに、その道に進まないなんて……!」と思ったかもしれないけれど、今は「やってみたからわかったんだよね」って。チャレンジできた自分の方が好きだと思えています。
―― ガチガチだった思考が確実に柔らかくなっていますね。
ええ、だいぶ生きやすくなりました。
育児へのスタンスも大きく変わりましたね。我が子の育児を「楽しみたい!」と思っていたはずなのに、いつしか「楽しまなきゃいけない」という呪いに変わっていたことに気づかなくて。なんなら、「おむつ替えまで楽しいと思わなきゃいけない!」と思い込んでいました(笑)。でも、「ちょっと疲れたり嫌になっちゃう瞬間があっても、根っこに感謝を持てているならそれでいいんじゃないかな」って。
そのせいかな……以前は全身が疲れ切っていて、2週間に一度の接骨院通いを指折り数えて待っていたのに、最近はどこも痛くならないんです。文字通り、肩の力が抜けたのかもしれません。
―― 当初抱いていた「日々の幸せを見出したい」という思いも、だいぶ叶いつつあるのでは?

おっしゃる通りで、子どもにも優しくなれました。
以前はいろんなルールにがんじがらめだったから、それを守れない自分は許せないし、同じルールを子どもたちにも強いていた気がします。だから、すぐにイライラしていたけれど、今は自分に許しを与えられつつある分、周りのことも許せるようになったんでしょうね。
「その悩み、手帳部ではもう解決済みだよ!」
―― 自分と見つめ合う主軸を支え、問いを立て続けてくれたのが『自分軸手帳』であり、手帳部だったんですね。
そうですね。そういう意味でも、『自分軸手帳』は素晴らしいものですが、私はぜひ手帳部までマルッとおすすめしたくて。
というのも、最近、部とは無関係の人と会って日々のモヤモヤや悩みを聞くたびに、心の中で「自分軸手帳部では、もうそれ、解決済みだよ」って思っちゃうんです(笑)。「手帳部に来れば、その答えあるよ」って。もちろん、手帳部に入ったから安泰!というわけではなく、自分で考えたり葛藤したりしなくちゃいけないけれど……でも似た課題に着手済みの部員さんたちから、山ほどヒントをもらえる場所なんですよね。
―― 部員さん同士のつながりに価値を感じる方は、とても多い印象ですね。
私は中学生くらいから、とにかく自分の本音をノートに書き出す生活を続けてきたんです。先ほどお話した通り、親の価値観にハマる子でいなくちゃ、って思っていたから、日常生活は建前で、本音はノートだけが知っているような人生でした。
でも、一人でノートや手帳に向き合っていても、自分のものの見方という枠から外に出ることってできないんですよね。
ところが手帳部に入ったら、同じ物事に対しても、響くポイントや思考の矛先が人によって全く違う。自分以外の思考を覗いて初めて、「あ、私にもこういうポイントあったわ」とか、「私にとっては押しても何もないボタンだったわ」って、知り得なかった自分に目が向く――それに気づいたとき、「みんなでやるって本当に面白い」と思いました。
自分だけを見つめていても、自分ってわからないんですよね。だから、自分や人に優しくなりたい、モヤモヤを一つずつ手放したいと思うなら、ここで仲間を鏡にしながら、自分を見つめてほしいなって思います。
<聞き手・執筆> 矢島 美穂


