「ウィークリーページ」とは?
「ワークページ」と「スケジュールページ」の2種類から成る「自分軸手帳」。後者の「スケジュールページ」は、毎月「月の目標と振り返り→マンスリーページ→ウィークリーページ」という順番で構成されています。
自分軸手帳では、全てのページが「自分軸」を見つけ育てるために役立つよう組み立てられていますが……今回書き方をご紹介する「ウィークリーページ」は「手帳で日々を記録しながら自分軸を見つける」ためのページです。
ウィークリー=「自分」を集めるための入れ物
関わる人・場所・情報が際限なく広がりつつある現代。昔に比べて、私たちは日頃から多くの選択を迫られています。それはとても豊かに思えますが……たくさんの選択肢を前にすると、人はむしろ判断がつきにくくなるという一面も。もしあなたが人生に迷っているとしても、この時代ではそれも当然だと思えるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、ウィークリーページを活用して「毎日の生活から自分軸を見つける」という方法です。
日々の小さな記録を「ウィークリー」という入れ物にコツコツ書き込んでいくことは、つまり「あなた自身のかけら」を集めるということ。たった一つのかけらからは何も見えなくとも、それが集合することで、「あなたの変わらない部分=自分軸」や「違和感・揺らぎやすい部分=他人軸」が、徐々に浮かび上がってきます。
「自分軸」ってどこにある?
ところで、当たり前のようにみなさんにお伝えしている「自分軸」って、そもそもどこにあるのでしょう?――それは、どこかから新たに持ってくるのでも、誰かが与えてくれるものでもありません。実は、既にあなたの中にあるものなのです。
そういわれると、「こんなにぐらついている毎日なのに!?」「ただ代わり映えのない日常だけど……」と思われるかもしれませんね。
でも、そんな「何気ない毎日の生活」「心が揺らいだ瞬間」にこそ、自分軸のヒントが隠れています。
「自分軸の気配すらない!」「こんな日常から自分軸なんて見つかるはずがない!」と思っているとしても、ご安心を。それは「自分軸がない」のではなく、きっと「自分軸に気づいていない」だけですから。
前提|「正解」「役立つ」かどうかは後回し!
では、一体どんなことをウィークリーページに書けば、自分軸が見つかるのでしょう?
具体的な方法をご紹介する前に、一つ心に留めておいてほしいことがあります。
それは……「正解」「役立つかどうか」を気にしすぎず、試行錯誤することを前提にする、ということ。
▼Point1|絶対的な正解はない!
自分軸手帳部の部員さんのウィークリーには、たとえばこんなことが書かれています。
- 3good things(今日のよかったことを3つピックアップ!)
- 毎日の予定
- 行動実績、タイムログ
- 今日のハイライト
- 体重や体調などの記録
- 我が子のコンディション、かわいい言い間違いの記録
- シールやペンでデコしてモチベーションUP!
――では、あなたが同じことを書いたからといって自分軸が見つかるかというと、そうとは限りません。
たとえば、3good thingsで実際にあったのはこんな例。
書き続けて自分の”うれしい”のパターンが見えるようになった!
無理矢理いいことをひねり出すことに違和感があり、書き続けることすらできなかった
このとおり、記録する物事・形式との相性や必要性は、十人十色。あなたなりの方法と項目で定点観測をする――それこそが、自分軸を見つける唯一かつ最短の方法なのです。
▼Point2|その「予感」を大切にしよう
試行錯誤する過程で、もしかしたらモヤモヤした思いに襲われることもあるかもしれません。
- 記録したことがなんの役にも立たないかもしれない……
- なんとなく書いてみたいことがあるけれど、どうして手帳で記録したいのか、それをどう未来につなげたいのか、説明できない
そんな時は、論理よりも直感を大切に、ひとまず記録してみればOK!
――というのも、私たちがはっきり自覚している自分の興味や気持ち(=顕在意識)は氷山の一角。むしろ自ら気づいていない「潜在意識」の方が圧倒的に多いのです。今ハッキリと「この記録を今後こう使っていきたい」と断言できなくても、なんとなく書き留めておこうというその予感は、潜在意識からのサインかもしれません。
▼Point3|ありあわせの情報の力を信じてみよう
買い物に行かずとも、冷蔵庫にあるもので一品料理を仕上げる――このようにあり合わせの道具や材料で何かを作りだしたり、現状を切り抜けたりした経験はきっとあなたにもあるはず。その結果、意図せず持ち合わせたあれこれを組み合わせてみただけなのに、想像以上にいいアウトプットが生まれたりしたこともあったのではないでしょうか?
ウィークリーに何を書くか、全て最初から用途や目的を決める必要はありません。そして、各項目を固定し続ける必要もありません。
とりあえず書き始めた記録が、あるいは気持ちが変わって新たに書き始めた記録が、別の記録と組み合わさる――すると、想像もしなかった自分軸があらわになるかもしれません。
Step1|「事実」「思考・感情」「管理」の3軸で自己理解を深めよう!
ここからは、いよいよウィークリーページに「自分」を集める具体的なStepに移ります。
最初は欲張らず、1項目でも自分の気になることに特化して書き留めていけばOK。慣れてきたら徐々に項目を増やしてみましょう。
「何から書こう?」「何を増やそう?」と迷った時には、上の表を参考に「事実」「思考・感情」「管理」のそれぞれを織り交ぜて書くと自己理解を深めやすいでしょう。
《「事実・管理」×「思考・感情」から見えることの例》
○○な出来事に対してこういう風に考える癖があるんだ……!
Aのような作業(家事)は好きだけど、Bのような作業(家事)は嫌なんだ!
このように、「事実」や「管理」に加えて気持ちや考え方を記録し観察してみると、新しい「自分」が発見できるはずです。
▼Point|記録のための「下ごしらえ」がおすすめ!
自分軸手帳のウィークリーは「自由度高め」のデザイン。なぜなら「一人ひとりが観察したい事柄に合わせてカスタマイズしやすいように」という思いが土台にあるから。
とはいえ、「どうぞ自由にお書きください!」と言われれば、何から書いていいか戸惑いますよね。そこでおすすめしたいのが、「どこに何を書くか決めておく=手帳の下ごしらえ」です。
料理の前に食材を切ったり下味をつけたりすると、調理が手早くはかどりますよね。手帳も同様で、ページにあらかじめひと手間加えておくことで、隙間時間を活用しながら効率的に迷いなく充実した手帳タイムを過ごすことができます。
「自分」を集めるためのちょうどいい入れ物を用意しておく作業、と言い換えてもいいですね!
上の図は、下ごしらえの一例。ざっと線を引いて、枠と見出しを準備しておくだけで、「何を記録したらいいのか」が明確になり、グンと手帳が書きやすくなります。
上の例ではいろいろと書き込んでありますが、スタートからこんなに充実させなくても大丈夫。
- 習慣化リスト(右上)を準備してみる
- 仕事の開始&終了時間に線を引いて、意識しながら過ごしてみる
- 3 Good Thingsを拾い集めて記録してみる
――こんなふうに、まずは1つだけ。ハードルを低くするのが手帳を無理なく楽しく続けるコツですよ!
Step2|記録する項目を取捨選択しながら自分のアンテナをページに反映してみよう
Step1で記録を続けていくと、「こっちも気になる」と新たに記録したい項目が増えたり、逆に「これまで記録してきたけれど無意味に思える……」と違和感を覚えたりするもの。
そんな時は、その気持ちに素直に、記録する項目を取捨選択してOKです。
たとえば……
- ”体重”を記録
→ 「お腹が空いていないのに間食しがちかも?」
→ ”間食しているタイミング”と、”その時何をしていたか”の記録を追加 - ”気分”を記録
→ 「機嫌が睡眠時間に左右されているかも?」
→ ”就寝&起床時間”の記録を追加 - ”就寝&起床時間”を記録
→ 「ルーティーンが整っていて日々の変動がほぼない」
→ 記録を中止 - ”体重”を記録
→ 「私が目指すのはダイエットではなく、運動不足を解消して体力を付けること!」
→ ”体重”の記録を中止し、”運動”の記録を開始
「ウィークリーページの記入項目が固定されない」ことは悪ではありません。むしろあなたの内なる声を拾い上げることができている証拠です。
大切なのは項目を固定化することではなく、あなたの興味や喜び・憂鬱をきちんと拾いあげることであることをお忘れなく。
Step3|ワークページとウィークリーを「反復横跳び」してみよう
ウィークリーでの記録に慣れてきたら、「ワークページ⇔ウィークリーページ」を行ったり来たり……つまり「反復横跳び」しながら、自分軸手帳をフル活用してみましょう!
◆反復横跳びの方法
- ワークで分析→ウィークリーで行動 (参照:例1~4)
- ウィークリーで発見→ワークページに反映 (参照:例5~6)
※反復横跳びの方法はアイデア次第!下記の例以外にも、自由に試してみましょう。
▼例1|「足し算のワーク」→「ウィークリー」に
やりたいこと、欲しいもの、行きたい場所などを書き込む「足し算のワーク」。その中から「今月/今週、できそうなこと」を見つけて、ウィークリーに引用してみましょう。
【ウィークリーへの落とし込み方の例】
- 具体的なスケジュールとして、時間を予約
- 実現するための段取り/調べたことをウィークリーのフリー欄にメモ
▼例2|「24時間の棚卸しワーク」→「ウィークリー」に
自分が過ごした1日の記録をもとに、「幸せ/幸せを妨げられた瞬間」を振り返り、理想の1日を描く「24時間の棚卸しワーク」。
そこで見えてきた理想のタイムスケジュールや「幸せを感じる/妨げられる瞬間」を踏まえて、ウィークリーに今週の計画を書き込んでみましょう。
【ウィークリーへの落とし込み方の例】
- 「起床時間/就寝時間」をペンでマーク
- 「幸せを感じる瞬間」を毎日1つピックアップして、ウィークリーのバーチカル上部の日付欄で宣言
- 一人時間を取りやすい時間帯に「幸せを感じることができる行動」を書き込みリスト化
▼例3|「お金の見える化ワーク」→「ウィークリー」に
お金のワークで見直したい事柄を書き出したら、ウィークリーページの見開き左側のチェックボックススペースに、お金にまつわる「やりたい」ことをタスクとして書き込んでみましょう。
漠然とした「やりたい」を分解して、今週の予定にすることで、行動へのきっかけが生まれます。
▼例4|「引き算のワーク」→「ウィークリー」に
「引き算のワーク」で具体的な引き算項目を洗い出した後は、その定着のためにウィークリー見開きの右上部「習慣化リスト」を活用するのがオススメ。
「やらない」が習慣化されるまで毎日チェックを続けてみましょう。
▼例5|「ウィークリー」→「感謝のリスト」に
ウィークリーで書き溜めた「3good things」があるなら、「1週間」「1ヵ月」という単位で定期的に見返してみましょう。
その中から特に印象の強かったものをピックアップして、ワークページの「感謝のリスト」に転記してみましょう。
「感謝」を集めていくことで幸せを感じやすくなる効果があるといわれています。さらに、集まった「感謝」を俯瞰することで、あなたの心を満たしてくれるものや人生で大切にしたいことが見つかることも。
▼例6|「ウィークリー」→「自分のトリセツ」に
「職場や家族で、○○と褒められた!」――そんな記録がウィークリーにあったら、あなたの強みや長所を知るための大チャンスです。
ぜひ「自分のトリセツ」や「わたしのほめリスト」に書き写しておきましょう!ここぞという場面であなたの「良さ」を生かしやすくなります。
終わりに
24時間刻みのバーチカルは、ついその「時間軸」ありきで捉えがち。ところが、今回ご紹介したように、「時間軸を活かすのは一部の時間帯のみ」、あるいは「時間軸を完全に無視して“自分を集める入れ物”として下ごしらえを行う」という使い方もあることがおわかりいただけましたか?
自分軸手帳は「ワークが充実している」と評されがちですが……実は毎日自分と向き合う「スケジュールページ」、さらには「ワークとの反復横跳び」こそが自分軸を育てるための肝といっても過言ではありません。
だからこそ、今回ご紹介した3Stepは一気に進めなくても大丈夫。焦らず、それぞれのStepごとにじっくりと向き合いながら、自分の気持ちや興味にアンテナを立て、内なる声に耳を澄ませること。それを何より大切にしてくださいね。