自分軸手帳の書き方ガイド

「自分のトリセツ」書き方ガイド

「自分のトリセツ」とは?

「自分軸を育てる」出発点にあるのは、“自分を知る”ということ。自分軸手帳をかたわらに置きながら、自分の内側に耳を傾けるうちに、あなたは徐々に“自分”の輪郭や本質を徐々に理解できる(=自分を知る)ようになるでしょう。

その「把握できた”自分”」を凝縮して「取扱説明書=トリセツ」という形にまとめて書き記すことができるのが、このワーク。「トリセツが書ける=強み・弱みを理解できている」ということ。これは、心地よい自分軸を健やかに育てるための大きな要素になります。

トリセツに立ち返りながら、「強み・らしさ」を活かして行動できる自分を目指していきましょう。

ポジティブ心理学では、性格の強みは「知るだけで」9.5倍、「使えば」19倍も幸福度があがる、とも……!

「自分のトリセツ」は、こんな時に役に立つ!

毎日目にしても損はない「自分のトリセツ」ですが、特に役立つと思われるのは、たとえばこんな思いを抱いた時。

それぞれの思いに、どうトリセツが効くか?一つずつご紹介していきます。

▼ 1|「私にはこれといった強みがない」

そもそも「強み」とは何でしょう?

――このように、「日頃から意識せずとも発揮して、役に立つ/秀でたパフォーマンスにつながる」ことは、あなたの「強み」といえるはず。でも、意識せず発揮していまっているため、強みとして自覚していないというケースが多々あるのです。

つまり……

  • あなたは知らず知らずに強みを発揮している
  • ゆえに、その強みの恩恵を被っている他人の方があなたの強みを見つけやすい

ということを、まずは覚えておきましょう。

他人に見出してもらった「強み」をトリセツに落とし込むためのヒントは、後ほどご紹介しますね!

◎自覚している「弱み」があるなら――それはつまり「強み」でもある!

ちなみに、あなたが「自分の“弱み”ばかり目につく」と思っているなら、強みのヒントを既に手にしていると言っても過言ではありません。

この通り、強みと弱みは表裏一体。

ある資質や特性が「弱み」として発揮されてしまうシーンは、もちろんあるでしょう。でも、シーンや相手によっては、それが「強み」として活きることも。

「自分のトリセツ」で、この「強み」や「弱み」を整理して意識づけておくことで、「弱みとして使われがちな瞬間」にブレーキをかけたり、「意識して強みとして発揮する瞬間」を増やしたりすることができるようになるのです。

▼ 2 |「今やっている仕事に自信がない」

今置かれた環境に対して、漠然と「不安」や「モヤモヤ」を抱えているなら。それはつまり「そこを抜けたすためのベクトルが定まっていない」とも言い換えられるのではないでしょうか。

そのベクトルを定めるための大きな支えになるのが「強み」。トリセツに「強み」が言語化できていれば、「なぜその強みを発揮できていないのか」「強みを生かすために足りないものは何か」「どんな場所・人・モノがあれば強みが発揮しやすいのか」など、現状の分析を始めやすくなります。

その結果をもとに

  • 今の環境で、もっと強みを発揮する!
  • 強みをより生かしやすい新たな場所を見つけ、環境を変えてみる!

など、今の気持ちを打破するためのベクトルを定めやすくなるでしょう。

▼ 3 |「自分の勝ちパターンを見つけたい」

「勝ちパターン」=自分がうまくいくやり方 のこと。

「成功したとき」「機嫌がいいとき」「なんだか調子がいいとき」など、いい感じの自分を手帳に記録→俯瞰してみると、一定のパターンが見えてくることが。

それがあなたの「勝ちパターン」です。

逆に「またやっちゃった……」「イライラする」「傷ついたりパニックになりやすい」など、イマイチの自分に一定のルールが見つかったなら、それはあなたの「負けパターン」。

そんな「勝ち/負けパターン」をトリセツに記録し、日常に生かしていくことで、困った時や「ここぞ!」というタイミングで自分をコントロールしやすくなるはずです。

「自分のトリセツ」の具体的な書き方と活かし方

ここからはいよいよ、「自分のトリセツ」を書き、活かしてためのヒントや方法についてご紹介していきます。

▼「自分のトリセツ」を書くための3step

充実したトリセツに仕上げるためにおすすめしたいのは、上記の通り3stepを踏んで、「3つの視点」を盛り込むことです。

◆Step1|【主観的視点】自覚していることを書く

まずは、あなた自身が自覚している「自分の強み」を言語化してみましょう。

まずは先にご紹介した上記の観点で自分を見つめてみてください。「ちょっと得意」「苦もなくできる」「“ありがとう”と言われる」ことはありませんか?

このとき気を付けてほしいのは、「世界のNo.1」である必要はない、ということ。

オリンピックで金メダルを取らなくても、身近でフルマラソンを走っている人に対して「すごい!」「忍耐力がある!」「スタミナがある!」と尊敬の念を抱く……そんな経験ありませんか?

正解や、絶対的な1位を求める必要はありません。ささやかなことでも、「ここに関してはちょっと胸を張れるな」と思えることはどんどん書き出してみましょう。

なかなか思い浮かばない場合には、カテゴリに分けるなど、具体的なシーンや相手を限定して考えてみるのもおすすめです。

◆Step2|【客観的視点】診断ツールを活用する

書籍やWEBなど、「強み」や「性格」の分析ツールを使ってみるのもいい方法です。研究や膨大なデータなどと照らし合わせながら、自分のポジションや要素を見直すことができます。

  • WEBサーベイの例(一部有料のものもあり)
    クリフトンストレングス(旧 ストレングス・ファインダー)
    VIA
    ビッグファイブ
    MBTI
  • 書籍
    自己分析や自己理解をテーマに取り扱ったもの

◎もっと自己理解を深めたい人へのアドバイス

診断ツールの結果をまとめるだけでも自己理解は深まりますが、その結果を自分の日常に引き寄せながら考察を加えて書き留めてみると、日常に落とし込みやすくなります。

【考察例】
「人に伝えたりする過程でいろいろ行動できるから、一人でグルグル考えこむよりあえて誰かに合う予定を入れようにしてみよう!」

◆Step3|【他者との関係】フィードバックを得る

先に「自分の強みは他人の方が見つけやすい」とお話しました。それを「トリセツ」に落とし込むのがこの「フィードバックを得る」という方法です。

自分が信頼できる人、相談がしやすい人に直接「私の強みはどんなところ?」「私のいいところを教えて!」と聞いてみると、意外な強みを発見できるもの。
逆に、その人たちから指摘されがちなところを振り返って、「弱み」として記録してみたり、その「弱み」を「強み」に言い換えてみてもいいでしょう。

先ほどのような質問を面と向かって聞きにくい場合には、まず自分軸手帳のワーク内にある「ほめリスト」の記入から始めてみるのもいい方法です。一つ一つの「褒め」を集めて俯瞰してみることは、あなたらしい「強み」を見つける手掛かりになります。

トリセツを活かそう

ここまでのヒントを元に、トリセツ作りを進められたあなたに拍手!!!を送りつつ……一つお伝えしたいことがあります。

それは――トリセツ作りはスタートに過ぎない、ということ。

トリセツを充実させる過程で、実は“あるある”なのが、こんなパターン。

人の強みがうらやましい……

診断ツールの結果を見て満足。まるで「占い」みたい……

せっかく強みを知るための素材を手に入れても、さらにトリセツをしっかり記入できても。それを使わないと意味がないのです!

▼強みの実践におススメ!手帳の「反復横跳び」

だからこそ、たとえば1カ月に1つずつ。それぞれの強みにアンテナを立てながら現実世界を過ごしてみではいかがでしょう?

より確実にこれらの実践に取り組めるようにするために。おすすめしたいのが「自分軸手帳の他のページと行ったり来たり=反復横跳び」するという方法です。

◆例1:トリセツ⇔スケジュールページ

  1. トリセツの中から「今月活かしたい強み」「今月意識したい勝ちパターン」など取り組みの重点ポイントを決める
  2. たとえば以下のようにスケジュールページに取り組みの計画を落とし込み・実績記録を行う
    – 月の目標:テーマや目標に掲げる
    – マンスリー:1週間に1つずつ意識したいアクションやシーンを設定→各日付欄に実践内容や気づき・結果をメモ
    – ウィークリー:見開き右上の「習慣化リスト」に実践できたかどうかを記録

◆例2:トリセツ⇔引き算のワーク

  1. トリセツの自分の「負けパターン」を整理
  2. 負けパターンがが発生しないように、改善したい点(環境、時間、シーン…)を「引き算のワーク」でピックアップ、整理

Next Step|「自分のトリセツ」をもっと活用するために

さて、最後は上級編。

  • 一通りトリセツを整え、実践もできている!
  • もっと「自分のトリセツ」を極めたい!

――そんな方に向けて、2つのアイデアをご紹介します。

▼ 1 |「トリセツ」を育てよう

「自分のトリセツ」に限らず、自分軸手帳のすべてのワークにいえることですが……ワークは一度やったら終わりではもったいない!何度も繰り返し取り組んでアップデートすることで、自分軸はすくすくと確実に育っていきます。

一度仕上がったトリセツも、実践するうちに「書いてはみたもののしっくりこない……」「自己理解の解像度が上がり、新たな勝ちパターンが見えてくる」など、気づきや変化があるはず。そういった内容を書き足したり、新たなバージョンとしてブラッシュアップしていったりするよう心がけていきましょう。

▼ 2 |「他者のトリセツ」も作ってみよう

あなたのトリセツがあるように、あなたが接する相手にもトリセツはあります。だからこそ、「他者のトリセツ」を作っておくと、より良好な関係を育む大きな助けになります。

「他者のトリセツ」作りにおすすめなのは、「身近×大切な人」を選ぶこと。

  • 家族:パートナー、子ども、親…
  • 職場:上司、部下、同僚、取引先……
  • 友人:親友、ママ友、ご近所……

一度トリセツを作ると、相手に対してより細やかにアンテナが立ち、観察するように。すると、「ケンカになるのはこのパターン」「お互いが心地よいのはこのパターン」と、それまでよりグンと相手への理解が進むことでしょう。

ワークに取り組んだ方の気づき

「弱みを言い換える」ときに、自分を他者に置き換えて書いてみたら…… 弱みだと思っていたことも使い方によっては武器になると腹落ち!

幼少期って資質まるだしでわかりやすい!。大人は社会にもまれて分かりにくい……
自分のトリセツだけではなく、我が子のトリセツも作ってみよう

終わりに

「自分のトリセツ」を作るということは、「生きやすい自分になる」ということ。呼吸するように強みを発揮しながら、自分にとっても周りにとってもいい形であれる――それを想像するだけで、目の前が明るくなるのではないでしょうか?

ここまでたくさんお伝えしてきたガイドを元に進めたとしても、そもそもこれまでなかなか理解・分析できなかった自分についてまとめるわけですから、「トリセツ」作りは簡単な作業ではないはず。だからこそ、一つずつ強みを見つけ、徐々にトリセツを充実させていけば十分です。ゆっくり生きやすい自分に近づいていきましょう。