自分軸エピソード

仕事も、家庭も。どちらもあきらめず大切にするための、私なりの方法

「より高い視座から自らの仕事や社会を眺めたい」と考えていたくらほねさん。2023年に自分軸手帳に出合って以来、その気持ちを着々と形にしていきます。ところが、仕事がうまくいくほどに、大切にしたいはずの暮らしにしわ寄せが……。「仕事と家族のあり方」に向き合う4年間で見つけたのは、理想の生き方と新しい成長の形でした。

大切にしたいものをあきらめないために試行錯誤したくらほねさんの、4年間の歩みをお聞きしました。

《Profile》くらほねさん

関東育ち、雪国暮らし。夫と支援級男児の3人で暮らす、ワーキングマザー。キャリアコンサルタント。
2023年から自分軸手帳&自分軸手帳部スタート。
読書、考えをめぐらすこと、耳活、温泉、博物館巡りが好き。

X:https://x.com/Pr6K0
Instagram:https://www.instagram.com/kura_hone
note:https://note.com/kurahone

「ワーキングマザーは無理して当然」――それって本当?

ちょうどその頃は子どもを保育園に通わせながら、職場では管理職という立場でした。仕事は楽しみつつも「もっとうまく日常を回せないかな」と、ヒントや方法を探していましたね。

ある人から自分軸手帳の情報を聞いたとき、その人の語り口に共感したんです。世の中では「ワーキングマザーは無理をするもの」という前提が多いけれど、その人は「当たり前のように仕事をするし、当たり前のように自分の好きなこともする」というスタンス。しかも「みんなで励まし合おう!」といった群れた感じや精神論に走るのではなく、ロジカルさもあったんですよね。それを実現する傍らに手帳がある……その空気観や価値観が、自分にしっくりきたんです。

はい。でも足を踏み入れるのは、ちょっと勇気が必要でした。オンラインコミュニティは未経験でしたから。

そうかもしれません。「絶対どうにかしなきゃ!」と切羽詰まっている自覚はなかったけれど……いま振り返ると、実際は想像以上に詰んでいたのかも、って思います。

「上に上がる」だけじゃない。新たに見つけた「自分で選びとる」という成長の形

まずは「昇格も降格も選び取れた」こと。それから「暮らしを楽しめるようになった」ことですね。

手帳や手帳部と関わるようになってから、モチベーション高く仕事ができるようになったんです。新しいチャレンジや資格取得、表彰されることなどが立て続けに舞い込んで、マネージャーとしてのポジションが一段アップしました。

入部してまず変わったのが「新しいことに挑戦する抵抗感が薄れた」という点です。

部員専用プラットフォームにはくらほねさんのブログが数多く投稿されている

入部直後に「毎月の振り返りを部員専用プラットフォームで投稿する」というマイルールを決めて実行したら、アウトプットへの抵抗感がなくなったんです。部の外の世界にもその姿勢が滲み出て、職場ではやる気のある人に見えたんでしょうね(笑)。新規事業の起案もして、一次審査を通過して……という出来事も加わったからか、評価が上がりました。

この起案にも、実は手帳部の存在が関連しているんですよ。

我が子の発達が少しゆっくりなことに悩んでいる状況を、プラットフォームに勇気を出して投稿してみたことがあります。すると、たくさんの共感やコメントが届き「私だけではなくみんなの悩みなんだ」と社会課題として捉えることができたんです。

その気づきをもとに応募したのが、会社の新規事業提案でした。最終審査までには残らなかったものの、プレゼンテーションをしたり、新規事業の勉強会に参加したり。すごく楽しかったし、貴重な経験になりましたね。

まさに先日、組織変更の影響で今のポジションのままだと転勤が必須になる、と説明されたんです。でも手帳と過ごすこの4年間で、私の人生の核に家族の存在があることはわかっていたので、いま単身赴任などを選ぶのは違うな、と。

転勤せず今のエリアに残り一つポジションを下げる道を、前向きに選ぶことができました。

数年前までは、もっとストレートな向上心を抱いていたんですよ。「お給料もポジションも上げたい!」「上に上がることで見える世界にこそ成長がある」と思っていたんですよね。

でも、自分軸手帳で自分や暮らしを観察して手帳部で様々な人と出会ううちに、「その形だけが成長ではないのでは」と思い始めたんです。「家族と過ごす、子供の成長を見守る、自分の時間を手にして自分で選択する……その中での成長もあるのかも」って。

そう、以前はこのしなやかさがなかったんです。今は「時が来たら、またキャリアアップを目指す日々に戻ればいい」って思えています。人生の見方がちょっと変わりましたね。

自分の「大切」をより深く見つめ直す機会をくれる場所

仕事が忙しくなった分、暮らしは疎(おろそ)かになっていました。家族も大事だと思っていたからこそ、その現実に悩んでいましたが、4年間手帳や手帳部と過ごしながら「自分にとって家族とはどういうものか」「どう大切にしていくか」がだいぶハッキリしてきました。

書籍「7つの習慣」の実践サークル参加中に書き込んだマンスリーページ

その点で気づきや変化をたくさん生み出してくれたのは、「書籍実践サークル(※1)」ですね。「私が大切にしているものの中心が家族であり、それがない状態では他のものは選べない」と今は腹落ちしています。

(※1)書籍実践サークル
自分軸手帳部員の希望者が申し込み参加するサークル(不定期開催)。設定された書籍の中に書かれた学びやワークを、手帳をツールにしながら数カ月にわたって自分の中に落とし込んでいく。過去には『7つの習慣』『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』『アウトプット大全』などの書籍がテーマとなった。

2026年の年間目標のページにも「ミッションステートメント」が記されている

そうですね。『7つの習慣』の書籍実践で作り上げた「ミッションステートメント(※2)」の存在には、大きく助けられています。

※2:ミッションステートメント
人生の憲法・判断軸・行動指針。自分が「どんな人間になりたいか」「何を大切にして生きるか」を言語化したもの。

書籍「DIE WITH ZERO」実践の記録(一部)

それから「DIE WITH ZERO」の書籍実践では、「この瞬間にこの家族で過ごせることは本当に貴重なんだ」と実感させられました。

仕事が大好きな分、ついそちらに気が向きそうになることは相変わらずですが、その度に「暮らしとのバランスをちゃんと取ろう」と根幹の価値観にふと立ち戻れます。手帳部で催されるイベントやサークルは、大切なことを深く気づき直させてくれる機会ですね。

その日の気持ちはその日に消化。週に一度、ふわりと空気を捉えるルーティーン

まず前提として、手帳部との距離感を実は大切にしています。全てを真剣に取り入れてしまうと、キャパシティオーバーになりますから。部員さん発信の情報ややり方、公式イベントなどは、自分のベクトルや感性に響くか意外と見極めているかも。

その上で、自分軸手帳には「自分・子ども・家族・時間・暮らし・健康・勉強」といったカテゴリを書きこんでいます。仕事用の手帳は別で用意していますね。

たとえば、家族でしたいこと・できなかったこと、子どもの成長、夫との出来事。他にも、お迎えの時間や食べたものなど、その日したことなども。タイムログのような形で、時系列に行動を追いながら書きこむことが多いです。

ぎっしり書き込まれたウィークリーページ

YWT法(※3)で、Y(やったこと)をしっかり、W(わかったこと)とT(次にやること)は一行書く程度です。Tは反省や改善というより、「明日はこんな日」というイメージで。明日に気持ちが行くと、負の感情を抱く時もそこにとどまらず一歩踏み出せる気がします。

※3:YWT法
振り返りのフレームワークの一種。「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」のそれぞれの頭文字を取っている。

一つ一つの出来事を深掘りするというよりは、もっと大きな目で捉えているのかな。その日のことはその日に消化させつつ、週次や月次で少しまとまった期間を俯瞰して、自分が何を感じているか、ボトルネックはどこか、幸せの種は何かを抽象的に拾い上げているかも。

これも手帳部の先輩の方法を真似したもので、週の終わりに「チェックアウト」、週の始めに「チェックイン」をしています。

チェックアウトでは各エピソードを掘り下げるというより、その週を見渡して抱いた空気感からの気づきを一言。「大切なものを大切に」「歩くの気持ちいい」「ハレの日だから太ってもいい気分」とか(笑)。それから「今週できたこと」。これらをゆるく踏まえつつ、「来週に向けて」をひとこと書き加えています。

「今の気持ち」、それから「今週これだけはやること」として、やるべきことだけでなく楽しみなことも加えながら3つ掲げています。あとは「今週のやらない」も。たとえば、「イライラを振りかざす」「比べない」「無理なダイエット」といった内容です。

目標というより、小さい旗を立てているイメージです。

それから週はじめの瞬間の「今の気持ち」も書き留めています。これは、手帳部で「感情にフォーカスするといいよ」と教わったから。つい事実を書き連ねがちなので、あえて意識をつけたくて。これは自分の観察にも役立つのですが、もう一つおもしろいのは週の終わりに全然違う気持ちになっていたりするんですよね。

まさに、私にとって手帳に書く=自分の気持ちをコントロールすることにつながっていると思います。

子育て以外を楽しむ罪悪感に苛まれた過去。「バリキャリ」も「丁寧な生き方」もあきらめない今。

そうですよね。

私ね、雑誌の「日経ウーマン」みたいな人でもありたいけれど、「クウネル」の世界にも憧れるんです。その間に立って、つい「私はどっちにいきたいんだろう」って思っちゃうけれど……両方目指してもいいんじゃないか、って。同時並行はできなくても、その時々に片足ずつなら、「バリキャリがのんびり丁寧に生きる」のも実現できるのではと気づいたんです。

たとえば、5月は仕事にめちゃめちゃ負荷がかかるからそちらに全ベットする。けれど、その分6月は「実家でゆったり」と決めて過ごす。

1日の場合で考えれば、午前中はギュギュっと仕事に集中するけれど、午後は早退して子どものボランティアに参加してほのぼの、という具合に。

「今月の目標」などを書きながら見通しを立てたりもしますから、ここでも手帳に手伝ってもらっていますね。

こうして「やりたいことを全部やろう」と思えたのも、入部以降なんですよ。

以前は我が子の発達の問題も、「私のせいだ」と自責しがちだったんです。定期的に辛い気持ちになるし、「我が子がこんな状態なのに、子育て以外のことを頑張ったり楽しんだりしていいのだろうか」という葛藤もありました。

でも、部員さんたちはそんな様子はなく、自分の気持ちをしっかりつかまえてそれに応えて行動している人が多かった。良き母像を勝手に背負い込んでいたことに気づけてからは、徐々に「子どもは私と別の人間である」と思えるようになりました。

前半でお話した降格に伴って、恐らく少し時間ができると思うんです。このタイミングを、私は「戦略的踊り場」と捉えています。まだ先のある自分の人生で何かを選ぶための準備期間にできるんじゃないか、って。

子どもと向き合う時間を大切にしながら、キャリアコンサルタントの資格を活かした副業の種まきもゆっくりできたらいいですね。

はい、とっても。

自分で選び取ったものの先には、必ずうれしい未来や成長があるって、今はもうわかっていますから。

<聞き手・執筆> 矢島 美穂